大判例

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東京地方裁判所 昭和45年(ワ)5148号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一(事故の発生)

請求原因第(一)項中123456の各事実は当事者間に争いがない。そこで7(死因)につき検討する。<証拠>および弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。即ち亡光義は、昔は訴外日東製作所(機械加工)の社長をしていたが、五〇才頃から喘息の発病をもつていた。本件事故の五、六年位前から肺気腫と喘息を患らい始め、一週間に一度位の割合で通院治療を続けていた。昭和四二年八月には特に重くなり、東京友の会病院に約二週間入院治療を受けた。その後、川崎市菅へ引越して来てからは近くの稲田診療所へ週に一回ないし二回宛位に通院し、薬をもらつて来ては服用していた。寒い時には咳込むようなことはあつても、ひどく患うということもなく家の留守番したり庭の手入れをするといつた日を過していた。ところが本件事故により左大腿骨大転子骨折、頭部挫創(約二糎のため縫合した)、右耳に擦過傷を受け、直ちに木村病院に救急車で入院させられ、当初の診断では全治約三カ月というのであつた。右負傷に対する入院治療が続けられているうちに十一月一〇日に至り、喘息の発作があり咳が出はじめたので、以後専ら気管支喘息の治療が行われた。しかし脳軟化症も併発して十一月一四日死亡した。この死因については死亡直後から本件事故との因果関係につき疑問がもたれ、いわゆる司法解剖が行われた。その結果脳軟化症や気管支喘息が認められるけれども、左大腿骨大転子骨折がもとで老令のため全身衰弱して死亡したものと診断された。右認定事実によれば、本件事故による傷害を受けなければ、亡光義が、右の時期に死亡しなかつたものといえるけれども他面、持病の喘息等がなかつたならば、右の負傷によつても死亡しなかつたものと推測できる。従つて、以上の諸事実を参酌のうえ死亡による損害額算定にあたり被害者の亡光義の持病の寄与度を死因につき二割と認めて、死亡による損害算定にあたり二割相当を減額すべきものと解するのを相当とする。 (龍前三郎)

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